取材協力 :ドゥカティ ジャパン
文:ケニー佐川  映像:アートワークス

NEW MODELS

ニューモデル

DUCATI 1199 PANIGALE National Press TEST
1199パニガーレ プレス試乗会レポート

2012年09月20日掲載

全世界のドゥカティファンに熱狂をもって迎えられているスーパーバイクシリーズの最高峰モデル、「1199パニガーレ」が9月29日にいよいよ国内デビューする。これに先立ち、8月下旬に千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで国内プレス向け試乗会が開催。日本のメディア関係者の前で初めてその圧倒的な走りのパフォーマンスとサウンドが披露された。ドゥカティ史上でも類を見ない大がかりなフルモデルチェンジを果たした最新モデルを、動画インプレッションとともに解説していこう!


Ducati 1199 PANIGALE

ドゥカティの歴代スーパーバイクシリーズが継承してきた、排気量をストレートに表現したネーミングではなく、ドゥカティが本拠地を置くボローニャ地方、ボルゴ・パニガーレ地区にその名のルーツを求めた1199パニガーレ。このことからして、ドゥカティにとって特別な存在であることを意味している。

1199パニガーレの開発にはドゥカティコルセ(レーシング部門)がこれまでにないほど大きく関わっていて、ここ数年間に開発されたモトGPマシンをはじめとする世界選手権レベルの技術革新をすべて組み込んだマシンと言われている。従来の1198に対して「10ps出力向上と10㎏重量低減」。この命題を達成するために、3つの革新的なソリューションが投入されている。

ひとつめは従来の鋼管トレリスフレームに変わって、アルミ製モノコックフレームを採用していること。従来の1198は今なおクラス最軽量を誇るが、前述の命題を解決するためには、個々のパーツの軽量化ではもはや達成できないことが分かり、フレームの抜本的な構造改革を行う必要があったという。それが、フレームとエアボックスを統合することで部品点数を減らし軽量化を進めた、今回のモノコックコンセプトである。

2つめはエンジン。モノコックフレームに直接接合され、強度メンバーの一部を担うことで軽量化にも貢献しているエンジンは、ドゥカティ伝統のL型2気筒の中でも最強のパフォーマンスを発揮する「スーパークアドロ」である。従来の1198がボア×ストローク=106㎜×67.9㎜であったのに対し、スーパークアドロは112㎜×60.8㎜という超ショートストローク化により、イタリア本国仕様で195PS/10750rpmを実現。これは直4やV4を搭載するライバルのスーパーバイク勢を含めても、現在トップクラスの数値だ。

3つめはレース直系のエレクトロニクステクノロジーの応用。フルカラーTFT液晶ディスプレイに表示される最先端の「ドゥカティ・ライディング・モード」は、走行条件とライダーの好みによりボタン操作ひとつで最適なセッティングが可能となっている。スポーツABS、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)、ドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション(DES)、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)、レースから新たにフィードバックされたエンジン・ブレーキ・コントロール(EBC)、ライド・バイ・ワイヤ(RbW)、などによって、1199のパフォーマンスを最大限引き出しつつ、しかも安全にライダーをサポートしてくれるのだ。

なお、日本仕様は専用のマッピング、排気音量を管理するためのサードマフラーを介したエグゾーストシステムなどを新たに採用することで、最高出力は135HP/8,000rpmとなり、追加マフラーの装着により4kg重量増となっている(乾燥重量170.5kg(ABS装備重量2.5kgを含む))。また、最適化された前後重量配分はイタリア本国仕様と同様、F:52、R:48の比率を踏襲している。

1199 Panigale日本公道仕様諸元値
最高出力 135HP – 99kW / 8,000rpm (日本公道仕様)
195HP – 143kW / 10,750rpm (イタリア本国仕様)
最大トルク 11.1kgm – 109Nm / 8,000rpm (日本公道仕様)
13.5kgm - 132Nm / 9,000rpm (イタリア本国仕様)

1199パニガーレの3バージョン

■1199パニガーレ

マルゾッキ製50mm径の新型軽量アノダイズドコート・アルミニウム製インナーチューブを装着したフロントフォーク、ザックス製リアサスペンション、ステアリングダンパーのほか、DTC、DQS、EBC、RbW、ABSが標準装備され、電子ライディングアシスタンスはすべてドゥカティ・ライディング・モードの下で協調制御がなされる。

■1199パニガーレS

オーリンズ製43mm径のフロントフォーク、オーリンズ製アジャスタブルステアリングダンパー、オーリンズ製電子制御TTX®リアサスペンションユニットが採用されている。さらに超軽量マルゾッキ製鍛造マシン仕上げホイール、カーボンファイバーフロントマッドガード、モーターサイクル初のフルLEDライトが装着される。「S」バージョンのフェアリング上部には、空力効率を高めると同時に空気抵抗を低下させる2本のラテラルアタッチメントからなる「エアロキット」も採用。1199パニガーレSには、ドゥカティ・ライディング・モードに統合されるABS、DTC、DQS、EBC、RbWに加えて、DESも標準装備される。

■1199パニガーレS トリコローレ

新世代スーパーバイクの到来を告げるモデルであり、レッド、ホワイト、グリーンのイタリアントリコロールカラーで彩られる。1199パニガーレSと同一の装備に加えて、GPSオートラップタイム機能を持つ新世代DDA+が標準で装備される。

                               希望小売価格(税込)    発売予定日
1199 Panigale                   \2,090,000          9月29日
1199 Panigale S                \2,590,000          9月29日
1199 Panigale S Tricolore   \2,890,000          9月29日

※日本導入モデルの1199 Panigale、1199 Panigale SはABS を標準装備

ディテール画像一覧 Ducati 1199 PANIGALE

※画像をクリックすると拡大画像が表示されます

■エンジン

スーパークアドロL型2気筒4バルブデスモドロミック水冷エンジンは、従来の1198と排気量は同じながら、112㎜×60.8㎜の超ショートストローク設定により高回転高出力化により、Lツイン史上最強の195ps/10750(イタリア本国仕様)を実現。エンジンブロックはアルミ製モノコックフレームとともに車体剛性メンバーを兼ねている。

■エンジンカバー

日本仕様は世界一厳しいとされる排気音量規制をクリアするために、エンジンは樹脂製カバーによってクランクケースからシリンダーヘッドに至る大部分が覆われている。

■シート&タンク

燃料タンクのデザインは1198の高さのある、角張った形状を改め、丸みを帯びた偏平タイプとなった。タンク容量は17リットル(リザーブ含む)。絞り込まれたシートは前後にスペースの余裕がありライディングの自由度はさらに高まっている。

■フロント

ブレンボ製M50 4ピストンラジアルマウントモノブロックキャリパー&φ330㎜セミフローティングダブルディスクは全タイプ共通。「S」にはマルケジーニ製アルミ鍛造ホイールとオーリンズ製NIX30 φ43㎜Tinコートフルアジャスタブル倒立フォークが装備される。

■ブレーキ

フロントブレーキマスターシリンダーはブレンボ製ラジアルポンプを採用。リヤ側もブレンボ製2ピストンキャリパー&φ245㎜ディスクの組み合わせ。

■フロントサスペンション

「S」には電子制御調整機構付きドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション(DES)を装備。フォークトップに装備されたモジュールを通じて油圧をコントロールし、伸び側・圧側ダンパーを調整。同じくオーリンズ製ステアリングダンパーを装備。

■リヤサスペンション

鋭いエッジと縦目が印象的なマスク、スパルタンなデザインはデュークシリーズに共通するアイデンティティ。

■マフラー

国内仕様に装備される「サードマフラー」はテルミニョーニに特別オーダーして作らせたもの。エキパイはステンレス製、サイレンサーはカーボン製で重量増はわずか2.5㎏に抑えられている。

■メーター

TFTフルカラーディスプレイに組み込まれたメーター類。「ウェット」「スポーツ」「レース」のライディングモード、パワーモード、ABS、DTC、DQS、EBCなどの電子デバイスを一元管理する。デザインは従来の1198に比べてよりシンプルになった印象だ。