文/ケニー佐川  写真/岡拓  映像/アートワークス
取材協力/BMWモトラッドジャパン

NEW MODELS

ニューモデル

BMW C600 Sport/C650 GT

2012年11月29日掲載

都市型パーソナルモビリティがBMWから登場

BMWのマキシスクーター、C600SportとC650GTが国内でも販売開始された。BMWが今になってスクーターのジャンルに進出してきたことには訳がある。世界の交通環境は急速に様変わりしている。都市への人口集中とこれに伴う慢性的な渋滞の発生や駐車スペースの不足、排出ガス増加、ガソリン価格の高騰など、今後厳しさを増すであろうこれらの問題に対して、BMWは持続可能なパーソナルモビリティに解決策を見出そうとしている。その先陣を切ったのがC 600 SportおよびC 650 GTであり、今後はスクーターの枠にとどまらない、新たな「Urban Mobility(アーバン・モビリティ)」のジャンルとして、広げて行く計画という。

マキシスクーター分野において初のプレミアム・モデルとなるのが、BMW C 600 SportおよびニューBMW C 650 GTである。2つのタイプはそれぞれ個性的で、ユーザーニーズや目的によってターゲット・セグメントされる作り込みがなされているのが特徴だ。

BMW C 600 Sportは、よりスポーティな走りを好むライダー向けに開発され、一方で、ニューBMW C 650 GTは、長距離ツーリングでの優れた走行快適性を主眼に開発されたモデルである。

ネーミングからすると排気量が異なるように思えてしまうが、両モデルともエンジンとシャーシは共通である。新開発の水冷4スト並列2気筒DOHC647ccユニットは、クラス最強レベルーとなる44kW(60ps)/7,500rpm、最大トルク66Nm/6,000rpmを実現。駆動は滑らかで快適な加速をもたらすCVT(無段変速機)ギヤ・ボックスからスイングアーム内装式のチェーンドライブを通じて路面に伝えられる仕組みだ。

シャーシにはねじり剛性の高い鋼管ブリッジ・フレームとアルミニウム・ダイキャスト・ユニットからなるハイブリッド素材を採用し、高速安定性と市街地での軽快なハンドリングを両立。強力なパワーを支える足回りには、フロントφ40mm大径倒立フォーク、リヤには左側水平配置によるサスペンション・ストラットを使用。前後ブレーキともφ27㎜の大径ディスク(フロントはダブル装着)とABS標準装備の高性能ブレーキシステムを採用し、高水準の安全性を確保している。

BMWらしい革新的なファンクションも魅力である。C 600 Sportは、フレックスケースを車体後部のシート下に備え、バリエーションに富んだ収納コンセプトを実現。C 650 GTでは、シート下の容量約60リッターのコンパートメントに、ヘルメット2個を余裕で収納可能。サイドスタンド連動タイプのパーキングブレーキやマルチファンクション・メーターパネル(オンボードコンピュータ付き)。電動(C 650 GT)または手動(C 600 Sport)調整式ウインドシールド、グリップ&シートヒーターを標準装備。豊富なオプション装備やカスタムメイドのアクセサリーも魅力だ。

■BMW C 600 Sport

価格:1,120,000円(税込)

■BMW C 650 GT

価格:1,155,000円(税込)

 

■エンジン

新開発の水冷並列2気筒 DOHC647cc。最高出力44kW (60ps)/ 7,500rpm、最大トルク 66Nm / 6,000rpm のクラストップレベルのパフォーマンスを発揮。下半分は駆動を伝える CVT (無段変速機) ギア・ボックス。エンジンは 70度前傾して搭載され低重心を実現。エンジンは両モデル共通だ。

■スイングアーム

スイングアームは密閉式のケース内部にチェーンドライブ機構が収まる仕組み。スクーターで一般的なエンジン一体式のユニットスイング方式ではなく、モーターサイクル的なスイングアーム方式を採用している。

■サスペンション

リアサスペンションは車体左側に水平配置することで広いトランクスペースを確保。リンクを介さずスイングアームに直接マウントされる、いわゆるカンチレバー方式で、プリロード調整機構付き。

■フロントまわり

フロントにφ270mm ダブルディスクブレーキ&2ポットキャリパーの組み合わせ。φ40mm 倒立式フォークと標準装備の ABS により、強力かつ安定したストッピングパワーを実現している。 足まわりは両モデルとも共通。

■リヤまわり

リヤセクションには片持ち式スイングアームを採用。フロントと同系のφ270mm シングルディスクブレーキを採用し確実な制動力を確保。ディスク下側に見える小型のキャリパーはサイドスタンド連動のパーキングブレーキ。

■グローブボックス

カウル内側には左右にグローブボックスを装備。左側コンパートメントは奥にシガーソケットタイプの電源を装備し、フラップはハンドルロックと連動してロックされる仕組みとするなどセキュリティも考えられている。

■フューエルリッド

シート下に燃料タンクを収納し低重心化を実現。フューエルリッドの開閉はイグニッション操作と供用で、キーを深く押し込んで回すとフラップが開く仕組み。逆に回すとトランクルームが開く合理的な設計になっている。

■ウェィホーム機能

エンジン停止してキーを抜いても、ポジションランプが30秒間点灯し、夜道でも前方を明るく照らしてくれる「ウェイホーム機能」を搭載。これも4輪高級車メーカーならではの発想。夜間の駐車時などに重宝するだろう。両モデルとも装備(写真はGT)。

■電動スクリーン

C 650 GT 専用装備その①。電動制御式ウインドシールドを採用。しっかりとした剛性感がある大型シールドで防風防雨効果も非常に高い。C 600 Sport はよりコンパクトな手動タイプを装備。

■ディフューザー

C 650 GT 専用装備その②。メーター横にはコックピットへ走行風を整流するデュフューザーを装備。冬場は閉じて防風、夏場は開いて涼しい風を導入する効果がある。

タイプ別装備 C600 Sport(左)/C650 GT(右)

■メーター

左/C 600 Sport のメーターまわりはスポーティな雰囲気。最近の BMW ではお馴染みの、オンボードコンピュータ付きマルチファンクション・メーター・パネルを装備。タコメーターは液晶パネル左端にパラメーターとして表示される。

右/C 650 GT のコックピット。機能は C 600 Sport と同じだが、よりシックで落ち着いた雰囲気のデザインになっている。アナログ式速度計をメインに液晶パネルにはタコメーター、燃料残量、オド、トリップ、平均速度、瞬間燃費、平均燃費、気温、時計などを表示。モードはグリップ部分のボタンで切り換え可能。

■ラゲッジ

左/C600 Sportのトランクルーム。フレックスケースのボトムを閉じた状態でも、前部にはフルフェイス1個が収納できて、後部にもそこそこのスペースは確保されている。フレックスケースを広げれば、停車時にはヘルメット2個を収納可能。

右/C 650 GT はシート下に容量約60リッターのストレージ・コンパートメントを確保。フルフェイスヘルメット2個を収納してもまだ余裕がある。ソロなら1泊2日の旅支度が余裕で収まるはずだ。

■テール

左/C600 Sportのシンプルかつコンパクトにデザインされたテールセクション。テールランプとフラッシャーはセンスアップされた LED タイプ。BMW のロゴマークが効いている。

右/C 650 GT はゴージャス感漂うテールセクションが特徴。エンジン停止後 30 秒間、ポジションランプが点灯して前方を照らし続けてくれる、ウェイホーム機能を搭載 (C 600 Sport も同様) するなど、プレミアムスクーターにふさわしい豪華装備を誇る。

■その他装備

左/C 600 Sportはシート下の収納が特徴で、世界初となる BMW フレックスケースを車体後部に装備。停車時のみ使用可能で、トランクルームのボトムが外れて蛇腹状に展開する仕組み。この状態ではエンジン始動できない安全装置付き。

右/C650 GT はウインカーも豪華。LED がバックミラーに埋め込まれた C 650 GT のフラッシャーは、4輪高級車のようなグレード感が魅力だ。

■ライポジ

左/C 600 Sportはスポーティなライポジ。フットレスト、シート、ハンドル・バーの3点のポジションを、人間工学的に最適なデザインとすることで、アクティブなライディングを可能にした。ハンドル位置は低めでフロント寄り。

右/C 650 GTは快適性とタンデムを考慮したライポジ。ライダーおよびパッセンジャーに快適な乗り心地を提供するため、リラックスできる直立した着座姿勢のシート、調整式バックレスト、ハイ・ハンドルバー、ならびに、パッセンジャー・フットレストを組み合わせることにより、優れたツーリング性能と長距離走行における高い快適性を実現。