1966年にイタリアで産声を上げたビモータ(BIMOTA)。その社名は創始者の3人の頭文字からとった話は有名である。当初から、他社製エンジンを自社製オリジナルフレームに搭載する手法を得意とし、職人の手作りによる高品質少量生産によって常にハイクオリティなモノ作りを目指してきたメーカーである。以前はホンダやヤマハ、スズキなどの国産メーカーのエンジンを使ったスポーツモデルも多く手掛けてきたが、最近ではドゥカティがベースになることが多い。現在のビモータの代表作である「DB8」も、ドゥカティ1198の水冷Lエンジンを搭載している。
「DB8」シーズは2010にデビューしたビモータのフラッグシップモデルである。ドゥカティの先代最強スーパーバイク、1198に採用されていたLツインエンジン、通称テスタストレッタ・エボルツィオーネを独自のフレーム理論に基づく、クロモリ製鋼管とジュラルミン製プレートをつなぎ合わせたコンポジットフレームに搭載しているのが特徴だ。
エンジンは1198がベースだが、FIプログラムは吸排気系の変更に伴いリセッティングされるとともに、トラコンやパワーモードなどの電子デバイスが取り除かれた独自のチューニングが施され、ドゥカティLツイン本来のワイルドなキャラクターがより際立つ設定になっている。
足まわりには前後にフルアジャスタブルタイプのマルゾッキ製倒立フォークとエクストリームテック製ロー・ハイ調整式モノショックを装備。ブレンボ製ラジアルマスター&ラジアルマウントキャリパーと軽量なOZ製アルミ鍛造ホイールにより、強力なストッピングパワーと鋭いハンドリングを実現している。
そして、なんといってもビモータの真骨頂といえば、使われている素材のクオリティ。フレームの一部とエンジンハンガーを兼ねたプレートやキャリパーブラケット、スイングアーム後端部のアクスルホルダーやチェーンアジャスター、ステップやレバーといった操作系パーツにいたるまですべてアルミ削り出しパーツを使っている。さらにカウリングはなんとドライカーボン製である!
世界の一流ブランドと一品モノに近い高品質素材によるパーツを惜しげもなく使い、カロッツェリアの職人たちがひとつひとつ丁寧に組み上げた作品。それがビモータであり、他の大量生産メーカーには真似できない魅力となっている。
今回の試乗した「DB8」はタンデム可能なスタンダード仕様の設定で、最強バージョンの「DB8 SP」と異なる点はカラーリング、ステンレス製サイレンサー(SPはチタン)、フロントキャリパー(同モノブロック)、シートフレーム(同モノコック)などとなっている。
価格:「DB8」 343万円/「DB8SP」 348万円 |