近年のトライアンフは並列2気筒のモダンクラシックと直列3気筒のアーバンスポーツ、そしてクルーザーという3系統のシリーズラインを主力とするプロダクト構成を展開してきたが、ここにきて、ロードスポーツ系はロードスター、スーパースポーツ、ツーリングへと分化。そして、2011年に投入したタイガー800を皮切りに新たなジャンルとして、アドベンチャーモデルへの挑戦を始めるなど、フルラインナップメーカーへの道を着々と歩んでいるように見える。タイガー800シリーズの高評価を得て、アドベンチャーモデルの新たなフラッグシップとして開発されたのが、「タイガーエクスプローラー」である。
クラストップレベルとなる137PSのパワーを発生する新開発の3気筒1215ccエンジンを強靭なスチールチューブフレームに搭載。フロントにはアドベンチャーモデルの定番とも言える19インチホイールと190㎜のストロークを持つφ46㎜倒立フォークを装備し、未舗装路での走破性を向上。リヤの片持ちスイングアームには17インチホイールとプリロード&減衰力調整機構付きのリンク式モノショックが装備され、150サイズのワイドラジアルタイヤが強力なパワーを受け止める。駆動系には新たにシャフトドライブシステムを採用することで、事実上メンテナンスフリーのツーリングを可能にしている点にも注目したい。
タイガーエクスプローラーにはフラッグシップに相応しい、最先端の電子デバイスが搭載されているのが特徴である。新開発のエンジンには、ライドバイワイヤ方式の電子スロットルシステムを採用。クルーズコントロール、トラクションコントロール、オンオフ切替式ABSが標準装備され、高速走行からダートセクションに至るあらゆる環境下での安全性とスタビリティの確保に貢献。新開発のメーターパネルには直感的に操作できるオンボードコンピューターを装備するなど、ライディングを積極的にサポートする。
アドベンチャーモデルにとって、快適性の追求もポイントになってくる。人間工学に基づきデザインされたシートは840mmまたは860mmに設定することができ、プロテクション効果を高めた大型のスクリーンとハンドルバーはともに調整可能だ。タンデムライダーを配慮した広く快適なリヤシートには大型グラブバーを装備し、快適性と安全性を向上。大容量20リットルの燃料タンクにより、400㎞無給油でのロングランを実現する。
60リットル容量のツーパニアシステムと35リットル容量のトップボックスや、複数の電気アクセサリーを同時に使用することが可能な大容量950Wジェネレーターや電源ソケットを標準装備。さらに純正アクセサリーとして、シートヒーターやグリップヒーター、高出力フォグランプ、充電用電源内蔵トップボックスを用意するなど、バイク旅を快適かつ豊かに楽しむためのイクイップメントの充実ぶりには目を見張るものがある。
まさに“探検者”の名にふさわしい、マルチパーパス長距離ツアラーと言っていいだろう。
価格:199万9,200円 |