前回、「MOTOCOM」2011ベストランキング!ということで、これまで「SHOWDOWN ザ・対決」に登場したモデルについて独断と偏見でベストランキングを選出してみたい、とお伝えしましたが、今回はロードスポーツモデル部門を振り返ってみたいと思います!
最高レベルの性能とブランド力でプレゼンスを主張する「ドゥカティ1198SP」と「BMW S1000RR」は文句なしに素晴らしいですが、よりリーズナブルかつ実際的なスポーツ性能ではリッタークラスを凌駕するスーパーミドルクラスの「848EVO」と「GSX-R750」も手が届く存在として魅力的でしたね。また、SS由来ではない独自のスタンスで走りを追求したスーパーネイキッド、「TRIUMPH SPEED TRIPLE」と「KTM 990DUKE」も操る楽しさに満ちたマシンでした。ネオクラシックの2台、「THRUXTON」と「V7 CAFÉ CLASSIC」には古(いにしえ)のカフェレーサーの佇まいとハンドリングを堪能させていただきました。
ちなみに[★取り評価]の項目は、シチュエーション別の他、「足着き性」や「取り回し」、「アクティブセーフティ」等、実際的なユーザビリティの面も含めて評価しているので、過激なコンセプトのモデルはどうしても平均点が下がってしまう傾向は否めないところ。もちろん、そんな優等生には真似できないキラめく個性を持ったモデルもたくさんあるので、ひとつの目安にしてもらえたらいいと思う。
1198SPはその立ち姿や乗り味からして官能的であり、ライダーを酔わせる色香さえ感じる。数あるモーターサイクルの中でもやはり特別な境地に達している存在だと思う。S1000RRの199万円を遥かに上回る274万円という価格もプレミアムだが、最高級レベルの機能パーツが演出してくれるゴージャスな走りは、乗った者にしか分からないものであっても、一度乗れば誰もがその価値に納得せざるを得ない。そんな魔力を持ったマシンだ。サーキットコースでは切れ味鋭いハンドリングと強力な中速トルクでS1000RRを僅かにリード。ただし、 マシンの性能を引き出せるかどうかはライダーの腕次第。
[★取り評価 2.8]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/1/part/2
BMW S1000RR
S1000RRが時代の最先端を行くマシンであることに異論を挟む者はいないだろう。そして、最高レベルのスポーツ性能を“安全に”を楽しみたい人にとって最良の選択であることも間違いないと思う。しかしながら、直4エンジンをアルミツインスパーフレームに搭載する手法は、ここ数十年、世界のレース界を席巻してきたメイド・イン・ジャパン的なパッケージングであることも事実。ドゥカティがひたすらLツイン&鋼管トレリスフレームにこだわり続けるのに対し、勝つための合理性を追求するBMW。目的は同じでも、マシンを通じて垣間見えるフィロソフィの違いが興味深い。ツーリング気分で恐ろしく速く走れるマシンだ。
[★取り評価 3.1]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/1/part/3
TRIUMPH SPEEDTRIPLE
メーカーメイドによる元祖ファイターとも呼ばれるアグレッシブなモデルで94年の初代デビュー以来、世界中で累計65000台以上を売り上げたロングセラーモデルでもある。最新の2011モデルは車体とエンジンがアップグレードされてさらに強力になった。トライアンフの代名詞でもある3気筒スポーツモデルのフラッグシップ的存在として、妥協のない作り込みには“本物感”が漂っている。磨き上げられた走りのパフォーマンスの中にもビッグネイキッドらしい重厚感もあり、乗り手を酔わせるサウンドが特別な時間を提供してくれる爽快なスポーツマシン。「価格以上の価値」があるように思えた。
[★取り評価 3.1]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/2/part/2
オフロード界の古豪、KTM初の本格的ロードモデルとして登場し熟成を重ねてきたファイターで、ビッグオフを祖に持つ軽量な車体と滑らかで瞬発力のあるVツインの特性を生かして、シチュエーションによってはスーパースポーツ顔負けの走りを実現する。およそリッターマシンとは思えない軽快なハンドリングが魅力だ。オフロード車から進化してロードスポーツになったモデル。哺乳類の一部が海に戻ってクジラになったように、環境適応への進化の道筋を見るようで興味深い。他にはない強烈なアピアランスで、信号待ちでは周囲の目を釘付けにするのはもちろん、走りの実力も本物。
[★取り評価 3.2]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/2/part/3
並列2気筒865ccツインカム4バルブのエンジンは見かけによらず元気で、おそらく多くのライダーの予想をいい意味で裏切るはず。そう、エンジンは現代的なのだ。爆発が等間隔で生じる360度クランクを使っているため、エンジンの回転フィールもすこぶる滑らかで、“ツイン的な鼓動感”を期待しているとちょっと当てが外れるかもしれない。威風堂々としてスマートなスタイリングは、酸いも甘いもかみ分けたベテランはもちろん若者や女性が乗ってもカッコいいはず。だれもが物語の主人公になれる、そんな雰囲気を持ったバイクだ。渋くキメて馴染みのカフェで熱い珈琲をすするとき、スラクストンのオーナーである喜びを噛みしめることだろう。
[★取り評価 3.0]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/3/part/2
V7カフェクラシックの乗り味をひと口に表現するなら、 “解放感”だろうか。このバイクにまたがりエンジンの鼓動に身を任せていると、忙しい日常や仕事のストレスから解放されて、疲れた心と体がしだいに緩んでいくのが分かる。半世紀近くも姿を変えていない空冷OHV2バルブ縦置きVツインという、シーラカンスのようなエンジン。吹け上がりも遅く、パワーの出方もまったりしているが、そこが親しみやすさであり安心感につながっている。コンパクトで軽い車体に古典的なエンジンを組み合わせた、穏やかでテイスティな乗り味が魅力。仕事も早く終わったので、ちょっと近場のトラットリアまでひとっ走り・・・そんなイメージだ。
[★取り評価 3.2]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/3/part/3
DUCATI 848EVO
2009年にブランニューモデルとして発売された848は、スーパーバイク世界選手権(WSB)のレギュレーションを見越して作られた1198系とは異なり、「レースを前提としていない」モデルである。本当の意味で扱える人は限られる1198よりも敷居を下げてはいるが、その一方でエキスパートが乗ればその軽さとジャストパワーを武器にリッタークラスを凌駕する走りを楽しめる。848EVOは本物のハンドリングマシンだ。ドゥカティ最軽量の車体と848ccという排気量が見事にマッチングした、当代きってのウェルバランスな1台と言える。1198SPなどの上級モデルに比べると100万円以上もリーズナブルな価格も魅力。
[★取り評価 2.5]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/6/part/2
SUZUKI GSX-R750
R750の真の素晴らしさは、誰もがスポーツライディングに親しめることかもしれない。誰もがというと語弊があるかもしれないが、たぶん大型二輪免許を取り立ての人でも半日ぐらい乗り回せば、自然にある程度の走りはできるようになっているだろう。そう思えるほど、ユーザビリティが高い。ワインディングにこだまする直4サウンドもまた絶品。ノーマルマフラーでも十分酔わせる音を響かせてくれる。ハンドリングは極めてニュートラル。ドゥカティのような倒し込むための “儀式”もいらず、目線を向けるだけでコーナーに吸い込まれていく。600クラスのハンドリングと1000クラスのパワー。言い古された表現だが、その黄金律が多くのライダーを魅了するのだ。
[★取り評価 3.2]
詳しい記事は→ http://motocom.jp/cross/contents/vol/6/part/3
次回はツアラー&クルーザー部門のまとめと、いよいよ「MOTOCOM」が選ぶ2011粋なモーターサイクルベスト3の発表です。