なんと、予選トップで通過!
10月31日(日)に筑波サーキットで開催された、MCFAJクラブマンロードレースの中のmax10クラスに参戦することになったのはいいが、練習走行は本戦2日前の1回のみ。しかも大雨でげんなり気分のまま本戦を迎えたことは前回お伝えしたとおり。さらに筑波サーキットでのレースは記憶が曖昧なほど昔いう暴挙である。たしかにその昔は選手権を走っていたこともあるし、レース自体は「もて耐」や「鈴鹿4耐」などにコツコツと出続けてきた。でも、ほとんどぶっつけ本番のレースで実力を発揮できるのか、スラクストンでどれたけ走れるのか、考えるほどに不安は募るばかりだった。
ただ、雨の中、ノーマルタイヤで練習走行したのは自信につながった。コーナーの出口で加速するたびにリヤタイヤが流れるのだが、そのうちに慣れてきて流すのが当たり前のような感覚になってきた。バイクを起こしながらスロットルを開けることでヨー方向に車体が向きを変えていく感覚は、ちょうどオフロード車でダートを走るときに似ている。ちょっとだけ、雨の走り方をつかんだ気がしたのだ。
そして迎えた本戦の日。朝から冷たい雨がシトシト・・・。前述したようにスラクストンの極細18インチホイールにはレインタイヤの指定サイズがない。普通ならもう帰りたくなるところだが、こうなったら当たって砕けろだ。少々、ハイな気分のまま予選へと出陣していった。
クラブマンロードレースはこんな和やかムードです。英国紳士風のお方は当アカデミーの・・・
ご存じキャプテンこと「ライダースクラブ」の竹田津さんも応援に来てくれました!
コースに出たときは雨は止んでいたが、タイトな切り返しがあるCXコーナーなどはほぼウェットのまま。ライン上も所々にウェットパッチが残っている、一番イヤなコンディションだ。ただ、走り出すと意外と気にならない。それどころか、周囲のスーパースポーツを次々と抜いていける。これが雨天特訓の成果なのか!? 俄然、調子づいてきて「これはいけるかも!」という手応えとともにペースアップ。前にちょうど同じぐらいのペースで先行するデイトナ675がいたので、ずっと付いていくとあっという間に10分間の予選が終了。周囲に集団もいなかったので、自分がどれぐらいのポジションにつけたのかまるで分からなかったが、ピットに戻ってくるなりメカニックの高木さんがニヤニヤ顔で「危なかったね?」。そんな走りがメロメロだったのかと思いきや、「危うく賞典外になるとこだよ・・・ギリギリ10秒台」と信じられない言葉が。なんと、MAX10-2A(空冷クラス)では予選トップで、MAX10-2B(水冷クラス)を含めた総合でも先のデイトナ675に続いて2位という結果だった。スラクストンで初の筑波、しかもハーフウェトでまさかそんなに出るとは思ってもいなかったので、一瞬ポカンとしてしまった。
「mbMOTOガールズ」がお約束のポージング! これぞ大人の趣味レースですね(失礼)。
あとで冷静になってみると、たしかにスラクストンは速かった。他の最新マシンがあり余るパワーをもて余していたのに対し、スラクストンは非力な分スロットルを思い切って開けていける。ことさら今回のような微妙な路面コンディションの中では、規則正しいパルス感を伴う360度クランクのパラレルツインが持つトラクションの良さが存分に発揮されたのかもしれない。ともかく、予選は最高に近い形でクリアすることができた。さて、ここで問題になってきたのは、決勝での作戦である。この調子でいけば、完全なドライになればおそらく制限タイムの10秒を切ってしまうだろう。でも、ここまできて賞典外になってしまっては元も子もない。かといって気を抜けば周囲は元々速いマシンばかりなので、集団に飲み込まれてしまうだろう。どんな戦い方をすればいいのか・・・。大人の趣味レースなりに、楽しくもタフな決勝レースになりそうだ。つづく。
後編は12/17にアップするのでお楽しみに!